太陽光発電の導入にあたって、その恩恵を十分に受けるには、太陽光発電の自家消費を効率的に行えるシステムを整えることが重要です。
本記事では、太陽光発電を自家消費するための具体的な方法として、オール電化、エコキュート、蓄電池の導入について詳しく解説します。自家消費率を高めることで、電気代の削減や環境負荷の低減につながります。
太陽光発電を導入する前に、その種類や自家消費率について理解しておくことが重要です。太陽光発電にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。また、自家消費率は太陽光発電システムの効率を評価するうえで、欠かせない指標となります。
太陽光発電システムは、主に自家消費型、余剰売電型、全量売電型の3種類に分類されます。それぞれの特徴を理解することで、自宅の電力需要や目的に合った太陽光発電システムを選択できます。ここからは、3種類それぞれの特徴について解説します。
自家消費型の太陽光発電システムは、発電した電力を主に自宅・自社で消費するタイプです。日中に発電した電力を照明や空調、電気設備などに使用します。
売電しないため収入は発生しませんが、電力会社から購入する電力を削減できるため、電気代の削減効果を最大化できるのが特徴です。ただし、夜間や雨天時といった発電量が少ない場合は、電力会社からの電力購入が必要になります。
自家消費型を導入する際は、家庭の電力を消費するパターンを把握し、使用量に合った太陽光発電システムを選ぶことが重要です。また、蓄電池やオール電化、エコキュートなどを組み合わせることで、自家消費率をさらに高められます。
余剰売電型の太陽光発電システムは、発電した電力を自家消費したうえで、余剰電力を電力会社に販売するタイプです。10kW未満の住宅用太陽光発電と、10〜50kW未満の産業用太陽光発電が対象となります。
売電するため、収入を得られることがメリットです。ただし、売電価格は年々下がっているため、長期的な収支計画をしなければいけません。余剰売電型を導入する際は、発電量と消費量のバランスを考慮し、適切な容量の太陽光発電システムを選ぶ必要があります。
また、売電収入を最大化するためには発電量を増やすことが重要です。太陽光パネルの設置方向や角度、パネルの種類などを工夫することで発電量を増やせます。
全量売電型の太陽光発電システムは、発電した電力をすべて電力会社に販売するタイプです。発電設備の設置容量が50kW以上であるものが対象となります。自家消費はせず、売電収入を得ることが目的です。
全量売電型は、大規模な太陽光発電システムを導入する場合に適しています。ただし、売電価格の下落や制度変更のリスクがあるため、長期的な収支計画が大切です。
全量売電型を導入する際は、発電量を最大化し、なるべく高値で売ることが重要となってきます。新電力事業者は、政府が定めた固定価格よりも高い単価で買い取ってくれる傾向にあります。発電量を増やして高値で取り引きすることで、売電による収入を増やせるでしょう。
自家消費率とは、太陽光発電システムで発電した電力のうち、自宅で消費された電力の割合を指します。たとえば、1日に10kWhを発電し、そのうち7kWhを自宅で使用した場合、自家消費率は70%となります。
この自家消費率が高いほど、発電した電力を有効に活用できているといえます。設備や電力消費量によりますが、現在の自家消化率は平均して30%程度といわれています。
自家消費率は、システムの容量、家庭の電力消費パターンによって変動します。自家消費率を高めるためには、発電量と消費量のバランスを考慮しなければいけません。
自家消費率を高めることは、太陽光発電システムを導入するうえでとても大切なポイントです。自家消費率が高いほど、発電した電力を無駄なく活用できるため、電気代の削減効果が大きくなります。
また、自家消費率を高めることは、環境負荷の低減にもつながります。発電した電力を自家消費することで、化石燃料由来の電力購入を減らせるため、CO2排出量を削減できるでしょう。
太陽光発電を自家消費するには、いくつかの方法があります。ここからは、オール電化、エコキュート、蓄電池、電気自動車の導入について詳しく解説します。さまざまな方法を組み合わせて、自家消費率をアップさせましょう。
オール電化やエコキュートを導入することは、太陽光発電の自家消費率を高めるうえで非常に有効な方法です。
オール電化は、ガスや灯油などを使わず、電気だけで暮らす生活スタイルを指します。太陽光発電で創り出したエネルギーを照明やエアコン、調理器具などに幅広く活用できるため、多くの電力の消費につながるでしょう。
一方エコキュートは、太陽光発電で発電した電力を利用して、お湯を沸かせる給湯器のことです。日中の発電量が多い時間帯にお湯を沸かすことで、自家消費率を高められます。このように、オール電化やエコキュートを導入することで自家消費率を大幅にアップできます。
太陽光発電で発電した電力を蓄電池に貯めておくことで、夜間や雨天時など、発電量が少ない時間帯でも蓄電池に貯めた電力を利用できます。これにより、自家消費率を大幅に高めることが期待できます。
また、停電時にも蓄電池に貯めた電力を使えるため、防災対策としても効果的です。蓄電池には、リチウムイオン電池や鉛蓄電池などがあり、それぞれ特徴が異なります。自宅の電力消費パターンや予算に合わせて、適切な蓄電池を選びましょう。
電気自動車は、太陽光発電で発電した電力を使って充電できます。日中の発電量が多い時間帯に電気自動車を充電することで、自家消費率を高められます。
また、電気自動車に搭載された大容量バッテリーを家庭用蓄電池として活用することも可能です。これにより、夜間や雨天時など、発電量が少ない時間帯でも、電気自動車のバッテリーに貯めた電力を使えるでしょう。
電気自動車は環境負荷の低減にも貢献できます。長期的な視点で導入を検討しましょう。
オール電化は、太陽光発電の自家消費率を高めるうえで非常に有効な方法です。ここでは、オール電化の特徴や導入にかかる費用、導入時の注意点について詳しく解説します。
オール電化とは、家庭内のエネルギー源をすべて電気に統一するシステムです。従来のガスや灯油などの燃料を使用せず、電気のみで暮らせます。
オール電化の最大の特徴は光熱費の削減効果が高いことで、電気料金の安い深夜電力を利用することによりお得に電気を使えることが魅力です。IHクッキングヒーターやエコキュートなどの高効率な電化製品を使用することで、快適な生活を実現できます。
また、ガスの基本料金の支払いがなくなります。さらに、太陽光発電システムと組み合わせることで、光熱費の削減が期待できます。昼間に発電した電気を効率的に活用でき、環境にも優しいシステムです。
オール電化は、光熱費の削減や環境保護以外にも、安全性の向上といったメリットもあります。ガスや灯油などの燃料を使用しないため、安全性が高いのも特徴です。ガス漏れや火災のリスクが低減され、小さなお子様やお年寄りのいる家庭でも安心して利用できるでしょう。
オール電化を導入するための費用は、家のサイズや導入する設備によって異なります。
一般的な工事では、エコキュートやIHクッキングヒーターの導入費用、既存機器の撤去や新規のコンセント・回路を設置する費用が必要です。一般的な費用は、工事費込みで55〜115万円前後といわれています。
内訳としては、エコキュートの費用として45万円〜80万円、IHクッキングヒーターは10万円~30万円ほどかかります。今までガス火を利用していた場合は、IH専用の調理器具を用意する費用も必要です。
新たな設備や工事が必要なため、高額の料金が発生します。ただし、長期的に見れば、光熱費の削減効果が期待できるため、初期投資を回収できるでしょう。
また、太陽光発電システムを同時に導入することで、光熱費の削減効果がさらに高まります。初期費用は高くなりますが、長期的なランニングコストを考えると、オール電化は経済的なシステムといえます。
オール電化を導入する際は、いくつかの注意点があります。
まず、電気容量の確認が重要です。オール電化では、多くの電化製品を同時に使用するため、電気容量が不足する場合があります。電気容量が不足していると、ブレーカーが落ちてしまうなどのトラブルが発生する可能性があります。
また、オール電化では、深夜電力を利用するため、電気料金プランの選択も重要です。時間帯別の料金プランを選ぶことで、光熱費の削減効果を高められます。電力会社の料金プランを十分に比較検討しましょう。
次に、オール電化は定期的なメンテナンスが必要です。長く安全に利用するためにも、取扱説明書に書かれた日常的な手入れや点検はもちろん、数年に1回のペースで専門の業者に点検してもらいましょう。
さらに、停電対策も重要です。オール電化では、停電時に電気が使えなくなるため、非常用電源の準備が必要です。小型のガス発電機や、蓄電池などを用意しておくことが望ましいです。
エコキュートは、ヒートポンプ技術を利用して効率的にお湯を沸かせる給湯器です。ここでは、エコキュートの特徴や導入にかかる費用、導入時の注意点について詳しく解説します。
エコキュートは、外気の熱を利用してお湯を作るため、従来の電気温水器と比べて消費電力を大幅に削減できます。また、太陽光発電システムと組み合わせることで、さらに光熱費の削減が可能です。
昼間の太陽光発電による余剰電力を利用してお湯を沸かし、夜間や天候の悪い日でも蓄えた熱でお湯を供給できます。このように、エネルギーを効率的に活用できるのがエコキュートの大きな特徴です。
さらに、エコキュートは環境にも優しい給湯器です。ガスと違ってCO2排出量が少なく、地球温暖化対策に貢献できます。加えて、電気代の節約にもつながります。エコキュートは、家庭の光熱費削減と環境保護を両立できる給湯器として注目を集めています。
エコキュートの導入費用は、一般的に工事費込みで45万円〜80万円ほどかかります。価格帯に幅があるのは、製品の種類や容量、設置工事の内容などによって費用が異なるためです。大容量のモデルや高機能なモデルは、価格が高くなる傾向があります。
工事費用も、家の構造や設置場所によって大きく変動します。既存の給湯器から取り替える場合は、工事費用が抑えられるケースもあります。
ガスの給湯器は、工事費込みで10万円〜30万円ほどです。そのため、エコキュートは高額に感じるかもしれません。しかし、ガス給湯器は利用した分のガス代がかかるのに対して、エコキュートは電気代を抑えられます。
太陽光発電システムを利用すれば、さらに光熱費を削減できます。長期的に見れば光熱費の削減効果が期待できるため、初期投資を回収できるでしょう。
エコキュートを導入する際は、いくつかの注意点があります。
まず、設置スペースの確保が重要です。エコキュートは、ヒートポンプユニットと貯湯ユニットの2つで構成されており、それぞれ一定の設置スペースが必要です。
隣の建物と隣接しているマンションでは設置できないことがあるため、事前にスペースを確認しなくてはなりません。また、マンションの場合は配管の増設工事が必要なことがあるため、事前に管理会社に連絡しておきましょう。
次に、電気プランの確認が必要です。エコキュートは、深夜電力を利用してお湯を沸かします。節約のために深夜料金が安いプランに切り替えておきましょう。
さらに、自治体によってはエコキュートの導入に補助金が出る場合があります。自治体や時期によって補助金の内容は異なるため、エコキュートを導入する際は自分の住んでいる自治体に補助金がないかを確認しておきましょう。
蓄電池は、太陽光発電で発電した電力を貯めておける装置です。ここでは、蓄電池の特徴や導入にかかる費用、導入時の注意点について詳しく解説します。
蓄電池は、太陽光発電で発電した電力を貯めておける便利な装置です。日中の発電量が多い時間帯に発電した電力を蓄電池に貯めておくと、夜間や雨天時など、発電量が少ない時間帯でも蓄電池に貯めた電力を使えます。
蓄電池の最大の特徴は、自家消費率を大幅に高められることです。太陽光発電で発電した電力を無駄なく活用できるため、電気代の削減効果が高くなります。
また、蓄電池は、停電時の電源としても活用できます。災害などで電力供給が止まった場合でも蓄電池に貯めた電力を利用できるのは、万が一の備えとして大きな強みといえます。
蓄電池を導入するためには、初期投資が必要になります。蓄電池の費用は、工事費込みで80万円〜200万円が目安です。価格帯の幅が広いのは、商品の種類や工事内容によって費用が異なるためです。容量は自分の使用する電力量を確認してから選びましょう。
蓄電池の導入は高額ですが、長期的に見ると電気代の削減効果が大きいことが魅力です。太陽光発電と組み合わせることで、さらに電気代の削減効果を高められます。日常の生活はもちろん災害時にも役立つため、導入を検討する価値はあるでしょう。
蓄電池を導入する際には、いくつかの注意点があります。まず、設置場所の確保が重要です。蓄電池は、蓄電ユニットとパワーコンディショナーで構成されています。2つを置くための十分なスペースが必要です。
また、高温多湿を避け、直射日光が当たらない場所への設置が求められます。蓄電池はリチウムイオン電池を使用しているため、日光によって高温になると火災につながるおそれがあるためです。万が一の火災に備えて、消火設備を準備しておきましょう。専門の業者による定期的なメンテナンスも必要です。
近年では、マンションやアパートでの太陽光発電導入も注目を集めています。こちらの記事では、集合住宅におけるソーラーパネル設置方法やメリット・デメリットを取り上げました。
太陽光発電の自家消費は、電気代の削減だけでなく、環境負荷の低減にも貢献できます。太陽光発電の自家消費率を高めるには、オール電化やエコキュート、蓄電池の導入がおすすめです。それぞれの特徴や導入にかかる費用、導入時の注意点を理解したうえで、自宅に合った方法を選びましょう。
弊社では、太陽光発電システムの販売・施工だけでなく、オール電化やエコキュート、蓄電池の導入もサポートしています。お客様のニーズに合わせて、最適なシステムをご提案いたします。
太陽光発電の自家消費で、経済的にも環境的にもメリットのある生活を始めてみませんか。千葉県で太陽光発電を検討している方は、ぜひ弊社にご相談ください。