電力について調べていると「動力」という言葉もあわせて目にすることがあるかと思います。電力と動力は、大きく異なります。その明確な違いは、使うエネルギー量です。よって、用途も大いに異なります。
今回は、電力と動力の違いや用途などについて解説します。料金についても解説しているため、現在支払っている電気料金の相場と比較しながらご覧ください。
電力は、照明や小型の電化製品などを使う際に利用されるエネルギーのことです。一方で、動力という言葉は、より大きな電化製品を使う際に利用されるエネルギーのことです。電力と動力では扱う電気の量が大きく異なるため、契約の対象者や料金なども異なります。
今回は、電力と動力の違いについて、4点に分けて解説します。4点の違いから、電力と動力を明確に区別しましょう。
電力は、主に家庭用、または電気をあまり使わない店舗や事務所の電化製品へ利用されます。入居の際に電気会社と新たに契約を結びますが、その際に電気会社は売電会社として住人と契約を結びます。
一方、動力を用いるシチュエーションは、より大容量の電気を使う場合です。具体的には、業務用のエアコンや冷蔵庫などの大型電化製品に利用される電気を動力と呼びます。これらの業務用電化製品を利用する店舗や事務所などには、動力が必要になります。
電力の場合は、主に「単相100V」という電圧が用いられます。家庭用電化製品のなかでもより電圧が高いエアコンに関しては「単相200V」が用いられるのが一般的です。単相には2つの電線が使われ、1本が電気を送るもの・もう1本が電気を受けるものとして動きます。
一方、動力に用いられる電圧は主に「三相200V」です。3本の電線を使用した配電方式で、100V・200Vと種類のある単相と異なり、三相は200Vのみとなります。単相よりも安全性は損なわれますが、電力はより大きくなります。
家庭では、2つ穴のコンセントが用いられるのが一般的です。そのため、電力を用いる際のコンセントは、2つ穴の形状になります。ただし、エアコンには、3つ穴のコンセントが用いられます。
一方、動力を扱う店舗や事務所などで用いられるのは、4つ穴のコンセントです。家庭では見慣れないコンセントの形状になるため、動力を使う前に一度4つ穴のコンセントに注目してみましょう。
基本料金に関しては、電力契約の方が安価であり、動力契約はより高額に設定されています。ただし、使う電気量が増えれば増えるほど、合計金額では動力プランの方がお得になる仕組みとなっています。
以下は、2024年8月現在の東京電力における電力・動力プランの電気料金を表にまとめたものです。
プラン | 基本料金 | 電力量料金 (1kWh) |
---|---|---|
電力プラン・スタンダードS (10A〜60A) |
(10Aにつき) 311.75円 |
〜120kWh:29.80円 |
121kWh〜300kWh:36.40円 | ||
301kWh〜:40.49円 | ||
動力プラン | 1,098円05銭 | 夏季(7月1日〜9月30日): 27円14銭" |
その他季:25円57銭 |
表にもあるとおり、電力プランの電力量料金は、使用量に応じて通常3段階まで上昇します。一方、動力プランでは電気使用量による単価上昇がないことから、大容量の電気を使用するのであれば動力プランの方がトータルコストとして安価になるという仕組みです。
しかし、あまり電気を使わない店舗や事務所であれば、電力契約の方が適している場合もあります。各電力会社の公式HPで試算することもできるため、動力契約を検討中の方は一度チェックしてみるとよいでしょう。
電力会社が展開している契約プランを4つご紹介します。主な電気料金は、契約プランを問わず以下の構成となっています。
1. 基本料金または最低料金
2. 使用した電力量に応じた料金
3. 再生可能エネルギー発電促進賦課金
また、最近の電力会社では「電気+ガス」「電気+スマートフォン」など、電気とほかのライフラインを組み合わせて展開しているプランが多数あります。電気料金の構成や最近の電力会社が打ち出しているプランも念頭に置きながら、ご覧ください。
従量電灯プランは、電気を使えば使うほど電気代が高額になる仕組みになっています。基本料金制と最低料金制の2パターンがあり、どちらのパターンになるかは契約容量の設定次第です。
・基本料金制
契約容量の設定があり、容量ごとに基本料金が変わる
・最低料金制
契約容量の設定がなく、契約ごとに最低料金が設けられている
従量電灯プラン自体もA・B・Cなどのプランに分けられており、各プランでの違いは契約の対象者です。一般的には、共用部(例:マンション共用部の照明)・一般家庭・店舗などで分けられます。
また、すべての電力会社にA・B・Cのプランが存在するわけではありません。「A・Bのみ」「B・Cのみ」など、電力会社によって展開しているプランは異なります。契約を検討中の電力会社ではどのようなプランが展開されているのか、事前に確認しておきましょう。
電気を使用する時間帯によって、電気料金が変わるプランです。一般的には、夜〜翌朝(午後11時〜翌午前7時)の電気料金が昼間よりも安くなります。平均としては、昼間より夜間の方が10〜20円ほど安いです。
時間帯別電灯プランを検討する際は、2つの注意点を押さえる必要があります。1点目は、昼間の方が単価を高く設定されている点です。昼間も電気を使う方であれば、かえって従来電灯プランの方が安く抑えられるパターンもあるでしょう。
2点目は、昼間と夜間の単価は電力会社によって異なるという点です。2016年には全面的な電力小売りの自由化が開始されたことから、新たな電力会社も増加しています。ぜひ複数の電力会社を比較して、最適だと思える電力会社を選びましょう。
2つの注意点とあわせて、もうひとつ料金を抑えるコツもあります。それは、夜間に使う電化製品をあらかじめ決めておくということです。
たとえば、食器洗い洗浄機・アイロン・ドライヤーなどは、1,200W前後の電力を消費します。そのため、これらの電化製品はなるべく夜間に使用するようにしましょう。
オール電化向けプランとは、その名のとおり家庭内のエネルギーをすべて電気で賄っている家庭を対象にしたプランです。
時間帯別電灯プランと同様に、日中の電気料金が高く、夜間の電気料金は安く設定されています。そのため、昼間は外出し、夜に帰宅することが多い方には適しているプランです。昼間でも在宅が多い方には、料金が割高になってしまうかもしれません。
平日の昼間は外出しているが、休日は家にいることが多いという方もいらっしゃるでしょう。そのような方のために「休日料金」が設定されているプランも存在します。電力会社を選ぶ際は、休日料金の有無もあわせて確認しておきましょう。
また、地域によっては、電力会社の選択肢が狭まる可能性がある点には注意が必要です。大手の電力会社のみならず、新電力会社のなかにもオール電化向けプランを展開している会社は存在します。しかし、オール電化向けプランを展開している新電力会社は比較的少ないのが現状です。
太陽光パネル・蓄電池の設置(太陽光パネル・蓄電池は同時に設置するのが一般的)を行った方が対象になるプランです。電気料金の節約を長期的スパンで実現したい方には、おすすめのプランです。
太陽光発電セットプランへ加入したい方は、太陽光パネル・蓄電池の設置費用や設置後の電気料金などをシミュレーションしながら加入を検討しましょう。太陽光発電設置プランを契約する際は、高い費用対効果が見込める環境を整えることが重要になります。
また、設置できる太陽光パネルの面積が小さくなる場合も、太陽光発電セットプランの恩恵をあまり受けられないかもしれません。現在住んでいる家で、どの程度太陽光パネルが設置できるのかといった計算もあわせて行っておく必要があります。
さまざまな方法を駆使することで、電力と動力を効率的に使用できます。まずは現状を把握し、現在抱えている問題点を抽出したうえで、適切な方法を探りましょう。今回は、電力と動力を効率的に使用する方法を7つご紹介します。
太陽光発電を導入することで、電力・動力のいずれも効率的に利用できます。太陽光発電によって電気の自給自足が可能となり、とくに費用面と環境面へ貢献できるでしょう。
昼間は太陽光発電で発電した電気によって賄うことで、電気代の節約や余った電気自体の売却が可能です。初期費用は発生するものの、1日あたりの発電量次第では、長期的な電気代の削減を実現できます。トータルコストを計算し、費用対効果を軸に導入を判断しましょう。
また、太陽光発電自体には「発電時に温室効果ガスを排出しない」という特徴があるため、環境面にも優れています。次世代の子どもたちによりよい環境を提供するためにも、太陽光発電を導入するメリットは大きいです。
太陽光発電のみでは発電した電気を貯蓄できませんが、あわせて蓄電池も導入することで、電気自体の貯蓄も可能となります。
太陽光発電は夜間には発電できないため、通常であれば夜間は電気を購入することになります。しかし蓄電池があることで、昼間に発電した電気を貯めておけるため、夜間でも太陽光発電によって生み出された電気を利用できます。
こちらの記事では、太陽光発電と蓄電池を併用するメリットについてさらに詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。省エネ家電に買い替えることも、電力や動力を効率的に使用することにつながります。省エネ家電は通常の家電に比べて、意識的に節電するよりも手軽に電気代が削減できます。今回は、とくに買い替えがおすすめの家電を4つご紹介します。
LED照明は、白熱電球や蛍光灯に比べてメリットが非常に大きいです。代表的なメリットとしては、消費電力の少なさと寿命の長さが挙げられます。
LEDの消費電力は、白熱電球の4分の1ほどです。頻繁に取り替える必要もなく、一度取り付けると10年以上(1日8時間利用する場合)使えます。白熱電球や蛍光灯を使っている方は、ぜひこの機会にLED照明へ取り替えましょう。
近年では液晶テレビも進化しており、前回購入した時期から相当の年月が経っている方は、買い替えによって使用電気量が抑えられる可能性が高いでしょう。
たとえば、40V型機種の場合、2010年の平均年間消費電力は平均156kWhでした。やがて技術が進歩し、2018年には平均80kWhにまで削減されました。
消費電力削減以外にも、部屋の明るさによって画面の明るさを調節できる機能や一定時間操作しない場合の電源自動オフ機能など、省エネにつながる機能がほかにもついているモデルが多数販売されています。
古いテレビを使用している方は、省エネ機能が搭載されている消費電力の少ない液晶テレビへの買い替えを検討してみましょう。
冷蔵庫も液晶テレビと同様、省エネ機能が向上しています。
内容量401〜450Lの冷蔵庫を例に挙げてみましょう。環境省のページでは、年間消費電力に関しては2012~2022年の10年間で35〜42%も削減されていると発表されています。
また年間消費電力以外にも、庫内や室内の温度にあわせて自動的に効率よく運転する冷蔵庫や断熱性能に優れている冷蔵庫も登場しています。
冷蔵庫は常に稼働しているものであるため、電気代のなかでも多くの割合を占めています。だからこそ、省エネ機能に優れた冷蔵庫へ買い替えることも効果的です。
エアコンの省エネ機能も、どんどん進化しています。たとえば、2009年型の期間消費電力は849kWhでしたが、2019年型では801kWhにまで削減できるようになりました。
ほかにも、フィルターの自動洗浄や室内温度の自動調整(冷やしすぎや温めすぎを防ぐ機能)に関する機能がついているエアコンも続々登場しています。
エアコンは、電気代のなかでも比較的割合の高い電化製品です。電力と動力を効率的に使うためにも、現在古いエアコンを使用している方は、ぜひ買い替えを検討してみましょう。
たとえば、エアコンのフィルターに汚れが溜まったまま稼働させていると、室内へ快適な空気を届けるために、エアコンが必要以上に稼働することになります。
そのため、電気代が無駄に発生し、電力と動力を効率よく稼働できなくなります。家電や設備を必要以上に稼働させないためにも、定期的なメンテナンスを行いましょう。
エネルギー管理システムはEMS(エネルギーマネジメントシステム)とも呼ばれ、エネルギーを効率よく使用するためにエネルギーの使用状況を可視化するシステムのことです。
具体的には、オフィスや工場などにセンサーを設置し、エネルギー使用状況をモニタリングします。この場合のエネルギーとは、電気・水・ガスなどです。そのあと、問題点や解決策を導き出し、エネルギーの使用状況を調整しながら最適化させます。
このように、エネルギー管理システムを導入することで、エネルギーの使用を最適化できます。また、おのずと電力と動力の効率的な使用にもつながるでしょう。
デマンドコントロールとは、電力量のモニタリングをしながら必要に応じて調整し、電力を最適な状態で使用できるように管理するものです。そのため、このデマンドコントロールを導入することで、電力の効率的な使用にもつながります。
デマンドは「30分間あたりの平均使用電力」のことを指し、導入の際には目標のデマンド値を設定します。この目標値を超えると、警報機やメールでのお知らせを通じて、デマンドコントロールを行う仕組みです。
デマンドコントロールには使用電力をモニタリングする機能があるため、電気料金を抑えられます。しかし、導入するには初期費用がある程度発生するため、費用対効果を予測しながら検討する必要があります。
電気契約を見直すことで、電力と動力の効率的な使用へつながる場合があります。現状を踏まえたうえで、より適切な契約プランがないか確認してみましょう。
確認する際は、電気を使用している時間帯や現時点での電気使用量などを把握することが重要です。プランのなかには、時間帯によって単価が下がるプランや使用量に応じて安くなるプランなど、さまざまなプランがあります。
また、現在契約しているアンペアまで変えることで、基本料金まで抑えられる場合があるかもしれません。シミュレーションも行いながら、より適した契約プランを考えましょう。
今回は、電力と動力の違いや、主な用途などについて解説しました。電力は、主に家庭や小規模の事務所などに使用されます。一方、動力はより大きい店舗や工場に使用されます。
また電力や動力を効率よく使用するためには、省エネ家電への買い替えや、太陽光発電・蓄電池の導入も検討しましょう。
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