近年、ガソリン価格の高騰により、普段乗っている車をガソリン車から電気自動車に乗り換えたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
電気自動車を使うためには、ディーラーなどに設置されている充電設備で電気を充電するか、自宅などに充電設備を設置する必要があります。本記事では、電気自動車の充電設備の種類や、設備導入の際に使える補助金制度について解説します。
電気自動車(EV)の普及にともない、充電設備の需要も増加しています。電気自動車の普及が進むなか、充電設備の導入を検討している方も多いでしょう。
しかし、充電設備にはさまざまな種類があり、どれを選ぶべきか迷う方もいると思います。ここでは、電気自動車の充電設備の主な種類とその特徴について、詳しく解説します。
普通充電設備は、出力が低く、充電に時間がかかる特徴があります。このため、自宅での充電や、外出先での長時間の駐車中の充電といった利用シーンが想定されています。
具体的には、戸建て住宅やマンション、ビル、屋外駐車場、商業施設、レジャー施設、宿泊施設などでの利用が考えられます。
普通充電設備には「コンセント型」と「ポール型」の2種類があり、電源は単相AC200Vまたは100Vが主に使われます。初期投資は比較的低めで、補助金を活用することで、さらにコストを抑えることが可能です。
普通充電設備は、日常生活のなかでの充電ニーズを満たすための主要な選択肢であり、一般家庭をはじめ、多くの場所で導入されています。
急速充電設備は、短時間での充電が可能な高出力の設備です。長距離の移動中に充電が必要な場合や、バッテリー残量が少ない緊急時に利用されることが多いです。具体的には、ガソリンスタンドや高速道路のサービスエリア、道の駅などでの利用が一般的です。
急速充電設備は、50kW以上の高出力を持つものが多く、そのための設置には、高圧の電気契約が必要となることがあります。また、急速充電設備は高価ですが、補助金を最大限活用することで、初期投資を大幅に削減できます。
急速充電設備は、旅行中や外出時でも15分〜30分程度で充電を完了できます。こうした設備は、長距離移動時の充電ニーズを迅速に満たすための重要な選択肢といえます。
充電用コンセントの100Vと200Vは、その性能や用途に大きな違いがあります。ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
100Vは、日本の一般家庭で主に使用される電圧です。この電圧は、日常の家電製品の動作に適しており、6畳から10畳程度の部屋のエアコンや一般的な家電製品によく使われます。
たとえば、エアコンで考えた場合、電気代の面では100Vのエアコンと200Vのエアコンで大きな差はありませんが、100Vのエアコンは200Vエアコンに比べて半分のパワーしかないため、部屋を冷やすのに長い時間がかかることがあります。
つまり、100Vでも200Vでも電気代はさほど変わりませんが、100Vのほうが機器の使用時間は長くなってしまいます。また、100Vは低電圧のため、感電のリスクが低いとされていますが、水濡れや不適切な取り扱いは避けるべきです。
200Vはより大きな電気の勢いを持つ電圧で、一度に多くの電流を流せます。この強力な電圧のおかげで、一気に大きなパワーを出すことが可能となります。たとえば、エアコンの場合、100Vのエアコンが部屋を冷やすのに10分かかるところを、200Vのエアコンなら5分で冷やせます。
この電圧は、12畳以上の部屋のエアコンや大型の家電製品、電気自動車の充電用コンセントなどに適しています。
電気代に関しても、200Vのエアコンは短時間で部屋を設定温度にすることができるため、長期的には電気代の節約につながることが期待されます。しかし、200Vは電圧が高いため、感電のリスクが高まる可能性があり、とくに水濡れや不適切な取り扱いに注意が必要です。
補助金や助成金は、多くの企業や個人にとって、ビジネスやプロジェクトを進めるうえでの大きなサポートとなる制度です。しかし、これらの制度を利用する際には、いくつかの注意点が存在します。
とくに、補助金の利用には、申請から受給までのプロセスや条件に関する知識が必要です。ここでは、補助金を利用する際の主な注意点を詳しく解説します。
補助金の申請は、多くの場合で一定の公募期間が設けられています。しかし、この期間内でも、採択件数に対して応募件数が上回る場合も少なくありません。申請が多数集まり、採択件数を上回った場合、予定よりも早く受付が終了することが考えられます。
提出書類の内容やその妥当性、必要性が評価され、採択されるかどうかが決まります。そのため、申請を検討している場合は、早めの行動と、提出書類の内容を十分に検討することが重要です。
補助金や助成金の制度は、国や地方公共団体などの公的機関が主体となって運営されています。
そのため、予算や政策の変更にともない、交付条件や金額、対象となる事業内容などが毎年変わる可能性があります。前年と同じ条件での申請や交付を期待していても、実際には異なる結果となることもあるでしょう。
補助金の受け取りにあたっては、特定の設備の導入や、事業の実施を条件とする場合が多いです。こういったケースでは、補助金を受け取ったあとも、一定期間は該当の設備を保有し続ける義務が生じることがあります。
この期間内に設備を売却したり事業を中止したりすると、補助金の返還を求められることがあるため、交付条件をよく確認しましょう。また、補助金を受け取った企業は、会計検査院の検査を受ける可能性があり、正当な目的での費用支出や事務処理が求められます。
補助金や助成金を利用する際は、これらの注意点をしっかりと理解し、計画的に申請や事業の進行を行うことが重要です。正確な情報を元に、効果的な補助金活用を目指しましょう。
充電設備の普及は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)のさらなる普及を促進する鍵となっています。日本政府はこの動きを後押しするため、多くの補助金制度を提供しています。ここでは、国の補助金の詳細や利用方法について解説します。
日本政府は、2035年までに乗用車新車販売の100%を電動車にするという目標を掲げています。この目標の実現に向けて、充電インフラの整備が急務となっており、国は補助制度を通じて、その普及を後押ししています。
● 補助金の概要
令和5年度に活用できる充電インフラ補助予算は、昨年度の約3倍となる約175億円が盛り込まれています。この補助金は、個人宅を除く原則すべての施設が対象となっており、商業施設への急速充電設備の新規設置や時間貸し、月極駐車場も補助対象となっています。
● 申請の流れ
補助金の申請は、令和5年3月31日から9月29日までの期間に行うことが予定されています。補助対象となる充電設備の詳細は、次世代自動車振興センターの公式HPで確認することができます。
● 注意点
補助率や補助上限額は、設置場所や機器の出力、機能などによって異なります。また補助金は、予算額に達した場合は受付が終了するため、早めの申請が必要です。
各自治体では、それぞれ独自の補助金制度を設けていることがあります。ここでは、その一例を紹介します。詳しくは、各自治体のウェブサイトを確認してください。
東京都では、2030年までに都内で新車販売される乗用車を100%非ガソリン化することを目指しており、補助金制度が設けられています。
● 補助対象
国のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金の対象となるZEV車について、下記の金額が補助されます。
補助対象者 | 給電機能 有 | 給電機能 無 | |
---|---|---|---|
EV | 事業者 | 37万5千円 | 27万5千円 |
個人 | 45万円 | 35万円 | |
PHEV | 事業者 | 30万円 | 20万円 |
個人 | 45万円 | 35万円 | |
FCV | 事業者・個人 | 110万円 | 100万円 |
● 補助金の上乗せ
東京都では、ZEV乗用車の販売実績が一定以上あるメーカーから自動車を購入した場合、補助額が上乗せされます。また、太陽光発電などの再生可能エネルギー電力設備を導入している場合、さらに上乗せされます。
上乗せ額の詳細や条件については、東京都のウェブサイトを確認してください。
千葉県としては事業者向けの補助金制度を設けており、個人向けの補助金交付は行なわれていません。一方で、千葉市をはじめとした各市町村では、電気自動車を導入するときに補助金が交付される制度を設けています。
たとえば、市原市では電気自動車の購入にあたり、一定の条件を満たした場合に上限30万円として補助金が交付されます。詳細は、お住まいの市町村のウェブサイトを確認するとよいでしょう。
神奈川県では、県内に在住する個人や事業者を対象に、電気自動車またはプラグインハイブリッド自動車導入のための補助金制度を設けています。
ただし、令和5年度は個人向けの補助金制度の募集はありません。補助金制度の利用を考えている場合は、ページの更新情報に注目しておくとよいでしょう。
埼玉県では、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の導入を促進するための補助金制度が設けられています。この補助金は、二酸化炭素の排出削減と災害時のレジリエンス機能強化を目的としています。
● 補助対象
1.電気自動車(EV)… CEV補助金の2分の1または40万円のいずれか小さい額が補助されます。
2.プラグインハイブリッド自動車(PHV)…CEV補助金の2分の1または27.5万円のいずれか小さい額が補助されます。
3.外部給電器…CEV補助金の2分の1または25万円のいずれか小さい額が補助されます。
● 補助対象者
埼玉県内に在住する個人
埼玉県内に事務所や事業所を持つ個人事業主
埼玉県内に事務所や事業所を持つ法人
上記の者にリースするリース事業者
● 注意点
補助金を受けるためには、補助金の交付決定を受けたあとに、電気自動車や外部給電器の導入を行わなければなりません。補助金の交付決定前に導入を開始した場合、補助金の対象とはならないことに注意が必要です。
電気自動車(EV・PHV)の普及にともない、自宅に充電設備を設置するケースも増えています。しかし、設置する際には、さまざまなポイントを考慮しなければなりません。
ここでは、戸建て住宅やマンション、ビル、屋外駐車場のそれぞれの場合における設置のポイントを解説します。
一般的に、戸建て住宅に電気自動車の充電設備を設置する場合、工事の費用は4万〜12万円程度必要です。この費用は、取り付け場所や購入するコンセントの種類によって変動します。
充電器の設置工事の内容としては、分電盤から電線を引き、充電用コンセントを取り付ける工事が行われます。戸建て住宅に充電器を設置する場合は、下記の点に注意するとよいでしょう。
● 充電コンセントの設置場所
● 分電盤からの配線経路
壁に穴を開ける必要の有無や、配線を埋設する場合の土埋設やコンクリート下の確認が必要です。
● 設置場所と分電盤の距離
15m以内の配線工事は基本料金に含まれるケースが多いです。
● コンセントの種類
壁掛けタイプやスタンドタイプなど、設置場所に応じた選択が必要です。
● 自宅で使用可能な電圧
充電には短時間での充電が可能な200Vが推奨されます。現在の契約が100Vの場合は200Vに変更する必要があります。
工事費用が安く済むケースとしては、自宅の壁にコンセントを取り付ける場合や、自宅が200Vを使用できる状態でブレーカー増設の必要がない場合などが挙げられます。
一方、高くなるポイントとしては、分電盤からコンセント取り付け場所までの距離が15m以上ある場合や、電線の埋設やコンクリート下に通す作業が必要な場合などが考えられます。
マンションにおける充電設備の設置は、戸建て住宅とは異なる点がいくつかあります。たとえば、共有部分を使用する場合には、ほかの住民との調整が必要な場合があります。
1. 管理組合の許可を取得する
マンションの共有部分を使用して充電設備を設置する場合、管理組合の許可が必要です。設置場所や工事の内容、工事日時などを事前に相談し、許可を取得することが重要です。
2. 設置場所を選定する
マンションの駐車場や共有部分を使用する場合、設置場所の選定は慎重に行う必要があります。他の住民の迷惑にならない場所、電気設備との距離などを考慮して選定します。
3. 設置費用を確認する
マンションの場合、共有部分の使用料や管理組合への申請料など、戸建て住宅とは異なる費用が発生する場合があります。設置前に必要な費用を確認しておきましょう。
ビルでの充電設備設置は、商業施設やオフィスビルなど、多くの人が利用する場所での設置となるため、とくに注意が必要です。
1. ビルオーナーやテナントとの調整を行う
ビルのオーナーやテナントとの調整を行い、設置場所や工事日時、工事の内容などを確認します。商業施設などの場合、営業時間外の工事が望ましい場合があります。
2. 設置場所の選定
ビルの駐車場や共有部分を使用する場合、慎重な設置場所の選定が必要です。ほかの利用者の迷惑にならない場所や、電気設備との距離などを考慮して選定します。
3. 設置費用を確認する
ビルの場合も、共有部分の使用料やビルオーナーへの申請料など、特有の費用が発生する場合があります。設置前に必要な費用を確認しましょう。
屋外駐車場での充電設備設置は、天候など外部からの影響も考慮しなければなりません。
1. 設置場所の選定
屋外駐車場の場合、雨や雪、強風などの影響を受けやすいため、設置場所の選定は慎重に行う必要があります。とくに、雨や雪の影響を受けにくい場所や、風の影響を受けにくい場所を選定します。
2. 設置費用を確認する
屋外駐車場の場合、天候の影響を受けやすいため、設置費用が高くなる場合があります。とくに、防水や耐風、耐雪などの対策が必要な場合、設置費用が増加する可能性があります。
3. 設置工事の手順
屋外駐車場の場合、天候の影響を受けやすいため、設置工事の手順も慎重に行う必要があります。とくに、雨や雪の影響を受けにくい日を選定し、工事を行います。
自宅で電気自動車充電システムを導入するにあたって、必要な工事や費用などが気になるところではありませんか?こちらの記事にて紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。電気自動車の充電設備を設置する際は、どこに設置するか、何ボルトの充電設備を設置するか、配線の都合など、いくつかのポイントを考慮しなければなりません。設置場所によっては、組合など関連する部署への確認が必要になることもあります。
自治体や条件によっては、設置の際に補助金を受け取れる場合があります。補助金を活用することで、設置費用を大幅に削減できるでしょう。
補助金の申請受付は早期に終了してしまうこともあるため、制度の利用を考えている場合は、早めに自治体のウェブサイトを確認することをおすすめします。
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