「電気代の削減や災害に備えて太陽光発電を始めたい」「駐車場を有効活用してソーラーパネルを付けたい」と思っても、まず何から始めればよいか迷う方は多いでしょう。ソーラーパネルの種類は豊富で、初期費用の心配などもあります。
そこで今回は、駐車場にソーラーパネルを設置する方法を個人向けに解説します。ソーラーカーポートの種類や設置のメリットやデメリット、よくあるQ&Aなども取り上げているため、参考にしてください。
駐車場にソーラーパネルを設置するには、駐車場の屋根を利用するのがおすすめです。一軒家の駐車場に屋根がない場合、後付けでソーラーパネル付きのカーポートを設置することも可能です。
あらかじめソーラーパネルがついているソーラーカーポートを設置すれば、新たにソーラーパネルを設置する場所を確保することなく太陽光発電ができます。
ただし、駐車場にソーラーパネルを設置するには、メリットとデメリットがあります。ソーラーカーポートの種類を知るとともに、メリットとデメリットの両面を把握していきましょう。
まずは、駐車場での設置に最適なソーラーカーポートの種類について解説します。ソーラーカーポートを大きく分けると、太陽光発電の一体型と搭載型、オーダーメイドの3タイプに分かれます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
カーポートの屋根とソーラーパネルが一体になっているタイプです。太陽光発電を目的に造られているため、屋根の形がフラットなものや、ソーラーパネルの大きさに合わせた波状などの形状が主です。
配線などの機器が目立たず、スッキリとしたデザインのものが多いのも特徴です。また、太陽光をまんべんなく取り込めるよう設計されているため、反射した太陽光も無駄なく電力にできる両面設計のものや、屋根材が頑丈なソーラーパネルで造られたものもあります。
従来のカーポートよりも、頑丈で劣化しにくいなどの特徴を持つものが多いのも特徴です。
既存のカーポートにソーラーパネルを後付けするタイプです。すでにカーポートが設置してある場合は、このタイプが導入しやすいでしょう。
パネルのみの交換もしやすいため、状況に合わせた対応ができるところがポイントです。ソーラーパネルや設備のみを購入すればいいため、カーポート全体を購入するよりも安価に済ませられることが多いです。
ただし、どのカーポートにもソーラーパネルが設置できるわけではないため、一度専門の業者に相談することをおすすめします。とくにポリカーボネート製のカーポートは、積雪地域での使用が非推奨であることからもわかるように重みに弱く、ソーラーパネルの設置に不向きなものもあります。
金属製のカーポートなら後付けしやすいものも多いです。とくにガルバリウム製などの折板屋根のカーポートは丈夫なため、ソーラーパネルの後付けにおすすめです。
オーダーメイドなら、色や形状、大きさなど自由に決められるため一番自由度が高いです。敷地や希望の駐車台数に合わせて、思いどおりにデザインできます。見た目や強度にこだわりたい方にはとくにおすすめでしょう。
ただし、いちから造る場合は納品までに時間が掛かるため、注意が必要です。売電価格は年々下がってきていることも鑑みて、納期はしっかり確認しておきましょう。
人気なのは、柱の少ないデザインや、ソーラーパネルの隙間がなく多くの発電ができるタイプです。柱が少なければ車がぶつかるリスクや駐車スペースの拡大もしやすく、見た目もおしゃれです。
また、高さも自由に設定できるため、車高が高い車をもっている方にもおすすめです。そのほか、既存のソーラーカーポートを加工したりオプションを付けたりなど、好きにカスタマイズできます。
ソーラーパネルを設置するメリットは多岐にわたります。太陽光発電は空気や環境を汚さないクリーンエネルギーであるため、SDGsにつながることが大きな強みですが、このほかにもさまざまなメリットがあることをご存知でしょうか。
ここでは、駐車場にソーラーパネルを設置するメリットを6つ紹介します。
ソーラーパネルは、日常的には見えないカーポートの上に置くため、外観を損なう心配がありません。
住宅の屋根の場合、屋根の作りによっては外観を損ねてしまうこともあるでしょう。しかしカーポートへの設置であればスタイリッシュな印象に仕上げやすく、とくにデザイン性に優れた製品を採用すれば、外観の価値を高めることもできます。
ソーラーパネルは、カーポートの上や建物の屋根、外壁などさまざまなデッドスペースを有効活用して設置するため、ソーラーパネルが通行の邪魔になることや駐車スペースを侵すことはありません。
また、通常であればカーポートの屋根はものを置くなどの二次活用はできませんが、太陽光発電との相性がよい傾向にあります。また、家の屋上はバーベキューなどで利用したいけれど、ソーラーパネルの設置もしたい方にとってもおすすめです。
ソーラーパネルを自宅に設置する目的の多くは、自家消費です。太陽光で発電した電力は毎日の生活で利用できるため、電気代を抑えられ、近年の電気代高騰にも左右されにくくなります。
とくに、オール電化やエコキュートなどの電気設備をメインとした住宅にお住まいの場合、太陽光発電の恩恵を強く感じられるでしょう。
また、電気自動車を所有していれば、毎日の充電も自家発電でまかなえます。現在、日本を含む世界中でガソリン車から電気自動車への移行推進運動が広がっているため、今後さらに太陽光発電設備の需要は拡大していくでしょう。
停電などで電気の供給が止まってしまった場合でも、太陽光発電の自立運転機能があれば、電力会社の電力網から切り離された安全な状態で独立作動します。
この自立運転機能は、冷蔵庫や照明などの重要な機器に電力供給するために使用され、非常時にも必要な電力を確保できます。使用できる電気は最大1,500Wとなっているため、同時に多くの家電製品を併用しないよう注意しましょう。
ただし、すべてのシステムが自立運転機能を備えているとは限らないため、事前に確認が必要です。また、既存のコンセントではなく、専用コンセントから利用できる場合が多いため、非常時にどうやって使うかを訓練として確認すると安心でしょう。
自家発電のメリットは、売電収入が得られることも大きな要素です。余剰分の電気を電力会社に販売すれば、収入を得られる強みがあります。
売電価格は、発電容量と太陽光発電機器を設置した年度によって異なります。発電容量に関しては、家庭用の太陽光発電であれば10kW未満となります。
年度については、FIT制度(固定価格買取制度)が開始した2009年は1kWあたり最大48円でしたが、2023年以降は1kW16円ほどと、10年の間に約半分まで落ちています。
なお、2025年は15円になる予定です。こうした情報は、経済産業省の資源エネルギー庁が発表している価格表で確認できます。
このように売電価格は年々下がっているため、今からの導入では遅いのではないかと不安になる方もいるでしょう。しかし、売電価格低下はソーラーパネル購入費用の大幅低減による部分も大きく、費用対効果を考えれば今からでも十分投資分を回収し得ます。
また、売電する場合は発電事業者になるため、電力会社との契約や国への申請も必要になります。
夜間や天候が悪いときは、太陽光発電はできません。しかし蓄電池やV2Hがあれば、日中に発電した電力を夜間に使用することも可能です。V2Hとは、電気自動車のバッテリー内の電気を家で使えるようにできる機器で、車と家の間で双方向に電力をやり取りできます。
電気自動車の充電システムや蓄電池機器を設置すると、工事費や機器の取り付けなどの工事が必要になりますが、V2Hならひとつの機器で2つの要素をまかなえます。初期費用が高額であること、V2H単体では発電や蓄電ができないなどといった特徴も理解して検討するとよいでしょう。
自家発電ができるようになるソーラーパネルを設置すると、デメリットが生じることもあります。ここでは、ソーラーパネルを設置するデメリットについて解説します。メリットと合わせてしっかり確認しておきましょう。
ソーラーカーポートを新しく設置する際は、建築確認申請を取る必要があります。ソーラーカーポートの下に自動車を停めるという用途があることから、建築基準法により特殊建築物として扱われるためです。こうした申請などの手続きが必要な場合、工事着工前に2~3か月ほど必要となります。
ただし、ソーラーカーポートの面積が10m2以内かつ防火地域・準防火地域以外の土地であれば、建築確認申請は不要となります。ソーラーカーポートを設置する場合は、こうした制限なども加味して検討するとよいでしょう。
多くの場合、駐車場は住宅よりも低い位置にあるため、日の当たり具合によっては発電量が十分ではない場合があります。常に影が落ちる場所や、午前か午後のみ日が差す場所など、日当たりにムラがあれば発電力にもムラが出てしまいます。
経年劣化によって発電量が少なくなることも考慮しておきたいポイントです。そのほか、鳥の糞や黄砂、花粉や落ち葉などがパネルを覆ってしまうと発電量が落ちる原因になるため、こまめなメンテナンスが必要です。
メンテナンスに関しても専門業者に相談することが大切です。業者によっては、アフターフォローがしっかりしており、メンテナンスも請け負ってくれることも多いでしょう。
ソーラーパネルを設置するには、既製品のソーラーカーポートを設置する場合で、車1台で約150~180万円ほど、2台の場合240万円ほどの初期費用がかかる場合が多いです。1台のソーラーカーポートの出力は1~3kWで、4台目からは10kWを超える可能性が高まります。
オーダーメイドの場合は、上記の相場にプラスされた金額が予想されます。ただ、ソーラーパネルやソーラーカーポートの相場は2020年までは年々下がっていましたが、新型コロナウイルスの流行によって一時的に高騰するなど、相場は常に変動するものであると認識しておきましょう。
固定資産税は、住宅や土地、事業用機器や備品などに掛かる税金です。屋根と柱だけで構成されている一般的なカーポートなら固定資産税の対象にはなりませんが、10kW以上の太陽光発電装置の場合は事業用とみなされるため、固定資産税が掛かります。
とはいえ、一般的に住宅用のソーラーカーポートなら10kW未満の場合が多いため、あまり心配する必要はありません。そのほか、屋根があり三方向の壁で覆われている場合や、基礎が地面に固定されている場合、作業できる空間がある場合なども固定資産税の対象です。
ソーラーパネルを設置する際にチェックしたいポイントがあるため、解説します。行動する前によく確認してみてください。
まずは、自宅にソーラーパネルが設置可能かを確認してもらいましょう。自宅の図面やマップなどで方角や周辺施設の状況などをチェックし、自宅周辺を視察してもらうと安心です。
ソーラーパネルは、比較的まんべんなく太陽光が当たりやすい南側に設置することが多いため、自宅駐車場の場所が太陽光発電に適した場所にあるかをチェックしてみましょう。
しかし、駐車場が東や西などでも、条件次第ではソーラーパネルの設置ができる場合もあるため、まずは業者にシミュレーションしてもらうことが大切です。
お住まいの地域が、暴風が多い場所や積雪が多い場所の場合、それぞれに応じた対策をする必要があります。海の近くなどで暴風がよく直撃する場合、カーポートが飛ばされるおそれがあるほか、石や枝などが飛んできてソーラーパネルが破損する可能性もあります。
暴風が心配される地域では、耐風強度の高いソーラーカーポートを選ぶことが大切です。近年では暴風や暴風雨などがひんぱんに起こりやすいため、屋根の飛散を防ぐサポートやオプションを利用しましょう。
カーポートによっては、安全のために強風で屋根が外れて風が逃げるように工夫されているものなどがあります。自宅や周辺施設に配慮して決めましょう。
また、積雪の多い地域は、ソーラーパネルに掛かる雪の重みや低温に気をつけなければなりません。雪深い地域でも安心して太陽光発電ができるよう、耐雪性能に優れたソーラーカーポートはあるため、専門業者に相談してみましょう。
とくに地域によって雪質が変わるため、カーポートに掛かる雪の重みもそれぞれです。そのほか、雪深い地域では頻繁に雪かきの作業が発生しますが、雪かきの方法や融雪剤を使っても問題ない素材かなどの確認も必要です。
ソーラーカーポートを設置するには、初期費用やメンテナンス費、必要に応じて固定資産税や所得税などが掛かるため、余裕をもって資金を用意しておくことが大切です。
先述したとおり、車1台に対して150〜180万円掛かり、V2Hなどのオプションなどを導入すればさらに金額が上乗せされます。
見積もりをしっかり取り、どれだけの費用が掛かるのか長い目で見ていくことが大切です。もちろん、発電した電気で生活をしたり売電したりすれば、生活費を抑えたり収入を得られるため、元が取れる目安や発電量などもシミュレーションしておくと安心です。
駐車場にソーラーパネルを設置するうえで、多くの方がもつ疑問があります。ここでは、疑問を解消するために、駐車場のソーラーパネルに関するQ&Aについて解説します。ぜひ参考にしてください。
駐車場にソーラーパネルを設置するのにおすすめなのは、安定して太陽光を受けやすく日当たりがよい駐車場をお持ちの方や、住宅の屋根や屋上にソーラーパネルを付けたくない方です。
屋上にソーラーパネルを置くとくつろぐスペースがなくなってしまうほか、景観を崩す場合が多いでしょう。駐車場に設置するのが効率的でおすすめです。
反対に、駐車場の日当たりが優れない、駐車スペースが狭い、10年以上住む予定がない場合は、採算が取れない可能性が高いためあまりおすすめできません。
2024年7月現在、国が用意している補助金は事業者が対象になっており、個人の自宅向けの補助金はありません。ただし、自宅を事務所として使っている場合や10kW以上の発電が可能な場合などの条件次第では、補助金が適用されるケースもあります。
また、自治体ごとの補助金制度であれば個人の自宅向けのものが存在します。たとえば東京都練馬区は、区内の住宅補助対象設備を設置した場合補助が受けられます。内訳は、太陽光発電設備が20万円、蓄電システムが6万円、V2Hは10万円などです。
一方、千葉県千葉市では、太陽光発電システムの出力1kWあたり1.5万円(上限6万円)、定置用リチウムイオン蓄電システムの導入で7万円などの補助があります。このように、条件や補助金額が地域によって大きく異なります。
また、電力販売契約やリース契約などを利用すれば、初期費用が0円でも受けられるサービスもあります。メンテナンスも事業者が行ってくれるため、ソーラーパネルのメンテナンスやケアが心配な方でも安心です。
ソーラーパネルを設置して自家発電することは、世界共通の目的である温室効果ガスの削減につながるため、国や自治体はこのように補助金や助成金を用意しています。初期費用の負担を減らし、多くの方に太陽光発電を導入できるよう働きかけています。
現在用意されている補助金制度も、公募期間は数か月と限定的ではあります。今後、個人向けの補助金が増える可能性もあるため、国や自治体が出す情報を随時チェックしてみましょう。
駐車場のソーラーパネル設置は、10年以上と長期的に運用するため信頼できる業者を選ぶことが大切です。そのため、業者を選ぶときは相見積もりを取って金額の詳細を見極めるほか、実際に担当者と会って接客態度などを見ることが大切です。
また、施工実績が豊富かどうか、ソーラーパネルやソーラーカーポートの取扱数が多い事業者を選べば選択肢が広がります。施工後の保証制度の手厚さにも着目し、安価さのみを単純に着目し決めるのは避けましょう。
こちらの記事では、住宅向け太陽光発電の仕組みを解説しています。初めて太陽光発電を導入する方にもわかりやすい内容となっているため、ぜひあわせてお役立てください。太陽光で自家発電すると、電気代の節約や売電収入が得られるなどのメリットがたくさんあります。その一方、初期費用の負担が大きいデメリットもあるため、シミュレーションで長期的に太陽光発電を運用するメリットが多いか判断しましょう。
また、駐車場にソーラーパネルを設置するには、建築基準が問題ないか充分に発電可能か、暴風や積雪に対処できるかなどの確認が大切です。これらの不安を解消するなら、レクソルに気軽にご相談ください。
千葉県を中心にソーラーパネルや蓄電池の設置などの相談から施工、アフターフォローまで対応しています。エネルギーの高騰や災害などに左右されない環境をつくりましょう。